子どもの成長や独立、在宅時間の増減、親の介護が必要になるタイミングなど、生活スタイルはひとつとして同じではありません。こうした変化に合わせて、住まいも柔軟に形を変えられることが求められるようになっています。そこで本記事では「可変性のある家」が人気の理由と間取りづくりのポイントをご紹介します。
可変性のある家が求められる理由
ライフステージの変化に寄り添いながら、住まいを長く使い続けられることが可変性のある家の最大の魅力です。その人気の背景には、経済的なメリットだけではなく、家を次の世代へ受け継ぎやすいという価値観の広がりもあります。大きなリフォームを減らして経済的な負担を抑えられる
家族の人数が変わるたびに大がかりなリフォームを行うと、費用も時間も大きくかかります。そんなとき、可変性をもたせておくことで、壁を取り払ったり必要な部分だけを仕切ったりするだけで部屋の使い方を変えられます。結果として、建て替えや全面リフォームのような大きな費用を抑えられ、家計への負担が少なくてすむのです。
世代を超えて住み続けられる価値
長く使える間取りにしておくことで、子どもが大人になり、家庭をもった後も住み継ぎやすくなります。部屋の用途を限定しない作り方にしておけば、世代ごとに必要な形へかんたんに変えていけます。住み継ぐことで環境への負担も減り、家を「資産」として残していきやすくなる点も人気のひとつです。
環境負荷を減らす住まい方につながる
建て替えや大規模改修の回数を少なくできるため、資材の無駄を減らし、環境に配慮した暮らしにもつながります。また、長期間使える家をつくるという考え方は、近年のサステナブルな価値観にも合っており、多くの人が魅力を感じています。可変性を高める間取りづくりの基本
可変性をもたせた家をつくるためには、最初の設計段階で「変えやすさ」を考えておくことが大切です。部屋の使い方が決まっていない余白のような空間をつくることで、将来の選択肢を広げられます。なるべくオープンな空間をつくる
最初から細かく仕切らず、できるだけ広い一体空間にしておくと、後から自由に部屋を増やしたりわけたりできます。たとえば、子どもが小さいうちは広いリビングで過ごし、成長に合わせて可動式の間仕切りで個室を作るといった使い方が可能です。オープンな空間は、明るさや開放感にもつながり、暮らしやすさの面でもメリットがあります。
可動式の間仕切りや家具で自在に仕切る
壁を作り直さなくても、可動式のパーテーションや棚を使えば、必要なときにすぐ空間を区切れます。子ども部屋を2つにわけたいときや、在宅ワークスペースを一時的につくりたいときなどに役立つでしょう。固定壁ではなく動かせる家具を取り入れることで、間取りの自由度が高まり、ライフステージに応じたレイアウト変更がかんたんにできます。
動線を広く確保しておく
将来、部屋を増やしたり仕切ったりすることを考えると、動線に余裕をもたせておくことが大切です。廊下を広めにとったり、リビングから各部屋へ移動しやすい配置にしておくことで、使い方の変更がしやすくなります。動線がスムーズだと家事負担も減り、毎日の暮らしもラクになるでしょう。
長く住みやすい家のためのシンプルな設計
可変性のある家は、部屋の用途を最初から決めつけず、どんな生活にも合わせやすい設計にしておくことがポイントです。内装も含めてシンプルな仕上げにしておくことで、住む人の好みや年齢が変わっても対応しやすくなります。部屋の役割を限定しすぎない
「ここは絶対に子ども部屋」「ここは書斎」と決めてしまうと、将来使いにくくなってしまうことが少なくありません。あえて余白のある空間にしておくことで、家族の変化に合わせた使い替えがスムーズになります。たとえば、書斎として使っていた部屋を将来は寝室にしたり、趣味部屋を来客用の部屋にしたりと、柔軟に対応できる間取りが長く住み続けるポイントです。
シンプルな内装で雰囲気を変えやすくする
壁紙や床の色を落ち着いたトーンにしておくと、家具やインテリアで自由に雰囲気を変えられます。世代や生活スタイルが変わっても調和のとれる空間になり、長く愛着をもって暮らせるでしょう。内装をシンプルにしておけば、家を受け継ぐときにも好みが大きくわかれにくく、次の世代もそのまま使いやすくなります。
設備は交換しやすい位置に配置する
可変性を高めるには、水回りやコンセントなどの設備を動かしやすいようにまとめて配置することも大切です。将来リフォームしたいときに工事がしやすくなり、費用を抑えることにもつながります。小さな工夫ですが、長期的に見ると大きなメリットになります。






