注文住宅を建てるとき、悩みやすいのが「住宅ローンをいつ組むのか」という点です。土地の購入と建築工事では支払いの時期が異なり、必要な費用も細かくわかれているため、全体の流れをつかみにくいと感じる方も多いです。そこで本記事では、注文住宅のローン手続きの流れと、スムーズに進めるための準備などについて解説します。
注文住宅の住宅ローンはどのタイミングで組む?
注文住宅では、マンションや建売住宅とは違い、土地購入と建物の建築が別々に進むため、ローンのタイミングを理解しておくことが大切です。ここでは、よくある流れを踏まえながら、ローンをいつ組むのかを解説します。最初に行うのは「事前審査(仮審査)」
住宅ローンの最初のステップは事前審査です。土地探しや住宅会社の選定と同時期に行う人が多く、早めに申し込むことで、自分がいくらまで借りられるのかがわかります。なお、事前審査は本人の年収や勤続年数、信用情報などが中心となり、まだ物件の詳細資料は必要ありません。審査にかかる期間は早ければ数日程度です。ここで大まかな予算の目安が決まり、土地選びや間取りの計画が進めやすくなります。
土地や建物の内容が固まったら本審査へ
土地の候補が決まり、住宅会社と「この内容で建てたい」という方向性がまとまると、本審査に進みます。本審査は、借りる側の情報に加えて、建築予定の建物についても詳しく提出が必要です。工事請負契約書、図面、見積書などをそろえ、金融機関に提出します。審査では建物の安全性や資産価値もチェックされるため、建物の情報が整ってから申し込むことになります。
融資実行は「引き渡し時」が基本
住宅ローンは本審査に通ったあとに契約を結び、実際の融資が行われるのは家が完成し、引き渡されるタイミングです。建築が始まる前にお金が振り込まれるわけではないため、工事の途中で必要な費用をどう支払うかが問題になります。この点が、注文住宅でローン計画を立てるときの大きなポイントです。
注文住宅ならではの支払いの仕組みとローンの種類
注文住宅の場合、土地代と建築費の支払いが別々になるだけではなく、工事の進行にあわせて支払いが発生します。そのため、ローンの組み方にもいくつかのパターンがあります。ここでは、それぞれの特徴と注意点を解説します。
土地と建築費をまとめて住宅ローンにするケース
もっともシンプルなのは、土地と建物をひとつの住宅ローンでまとめて借りる方法です。ただし、この場合も融資の実行は家の引き渡し時なので、土地代を先に支払う必要が出てきます。そのため、一時的に自己資金を多く用意しなければならないケースもあり、計画段階でしっかり考えておくことが大切です。
土地と建築費を別々に組むケース
土地を先に購入し、建築は後から進める場合、それぞれで別のローンを組む方法があります。土地購入時点で「土地用のローン」を組み、後から「建物のローン」を組む流れです。土地を先に押さえたい人に向いていますが、借り入れが二段階になるため手続きが多い点が特徴です。
建築費のみ借りるケースとつなぎ融資の利用
すでに土地をもっている場合は、建物のローンだけを借りる方法になります。しかし、建築工事では着工金、中間金、完成金といった支払いがあり、住宅ローンが実際に振り込まれるのは完成後です。そこで利用されるのが「つなぎ融資」です。つなぎ融資は工事期間中の支払いを一時的にカバーするもので、住宅ローンとは別枠で契約します。
金利が高めで、住宅ローン減税の対象にもならないため、必要性と費用をよく検討しておく必要があります。
住宅ローン審査に向けて準備しておくこと
審査をスムーズに進めるためには、早めの準備が欠かせません。注文住宅は提出する書類が多く、ローンの仕組みも複雑なため、金融機関とのやり取りもていねいに進めることが大切です。ここでは、準備しておきたいポイントをまとめます。
必要書類を早めに整理しておく
事前審査では本人確認書類、収入証明書、源泉徴収票などが必要です。本審査になると、これに加えて工事請負契約書、建物の図面、見積書など、建築内容に関する資料も求められます。注文住宅は建物の内容が固まるまで時間がかかるため、住宅会社と相談しながら、必要書類を早めに集めておくと安心です。
金融機関ごとの違いを理解しておく
つなぎ融資や土地先行融資を取り扱っているかどうかは金融機関によって異なります。また、金利タイプや手数料もさまざまです。注文住宅の場合、支払いのタイミングにあわせて利用できるローンが変わってくるため、複数の金融機関で相談して比較することが大切です。返済計画を無理なく立てる
住宅ローンは長い期間の支払いになるため、将来の家計を意識して返済計画を立てることが欠かせません。金利の変動リスクを考えて固定金利にするのか、もしくは変動金利を選ぶのか、家計の余裕を見ながら判断します。シミュレーションを使って、毎月どれくらい支払えるのかを具体的にイメージしておくと安心です。






