家づくりを考えるとき、「どの断熱工法を選べば快適に暮らせるのか」と考える方は少なくないでしょう。断熱は家の温度を安定させ、冷暖房にかかるエネルギーも左右するため、とても重要な部分です。そこで本記事では、3つの断熱工法の違いを比較し、あなたの家に最適な方法を選ぶ手がかりになる情報をお伝えしていきます。
外張り断熱・充填断熱・ダブル断熱とは
ここでは3つの工法がどのような仕組みで断熱材を入れるのか、基本を紹介します。充填断熱の特徴
充填断熱は、柱と柱の間に断熱材を入れていく方法です。日本でもっとも広く採用されている工法で、比較的コストが抑えられます。また、施工する側の技術が問われにくく、リフォームでも対応しやすい点が魅力です。ただし、断熱材が柱の間にきれいに入っていれば一定の断熱性能を確保できますが、すき間ができると性能が落ちてしまうことがあります。
外張り断熱の特徴
外張り断熱は、建物全体の外側を断熱材ですっぽり包み込む工法です。柱や梁を含む構造体の外側に断熱材を張るため、すき間が生まれにくく、安定した断熱性と気密性を得やすい点が特徴です。家をまるごと外側から守るイメージで、外気の影響を受けにくくなります。ただし、使用する断熱材の量が多くなるため、一般的にコストは高めです。
ダブル断熱の特徴
ダブル断熱は、外張り断熱と充填断熱を組み合わせた工法です。壁の内部と外側の両方に断熱材を入れるため、断熱性も気密性も非常に高くなります。また、外気の温度変化が伝わりにくく、室内の温度を安定させる力が大きいのが特徴です。ただし、使用する材料が多い分、コストは3種類の中でもっとも高くなる傾向があります。とはいえ、性能面の満足度は非常に高い工法です。
断熱性能の違いと暮らしへの影響
ここでは、断熱工法がどのように住み心地や冷暖房効率に関わるのかについて解説します。断熱性能はUA値で判断できる
家の断熱性能は、UA値(外皮平均熱貫流率)という数値で評価できます。UA値が低ければ低いほど、外気の影響を受けにくい家ということです。外張り断熱は比較的UA値を下げやすく、充填断熱は施工精度によって差が出やすい傾向があります。ダブル断熱は2つの工法のメリットを合わせるため、UA値が低くなりやすく、安定した高性能を実現できます。
外張り断熱の快適性
外張り断熱は建物全体を外側から包む構造なので、外気の熱が壁の内部に伝わりにくく、冬の冷え込みや夏の暑さを緩和しやすい点が魅力です。また、家の内部と外部の温度差が小さくなるため、結露も抑えやすくなります。気密性も確保しやすいため、暖房や冷房の効率もよくなり、暮らしの快適さを実感しやすい工法です。
ダブル断熱の省エネ効果
ダブル断熱は断熱材を二重にしているため、外気の影響がさらに少なくなり、冷暖房で整えた室内温度を長時間保つことができます。エアコンを強くしなくても快適な温度が保ちやすく、光熱費の節約にもつながるでしょう。季節ごとの温度差が大きい地域に住む方や、一年を通して快適な温度で過ごしたい方にとって魅力の大きい工法です。
コスト・耐久性・結露のリスク
断熱工法を選ぶ際は性能だけではなく、費用や家の寿命にも関わるポイントを押さえることが大切です。初期コストの違い
充填断熱は比較的安価で、住宅メーカーでも標準仕様として採用されることが多い工法です。外張り断熱は材料や施工の手間がかかるため、充填断熱よりも高めの費用になります。ダブル断熱は二種類の断熱を併用するため、材料費も施工費も大きくなり、3つの中ではもっとも高額になりがちです。しかし、そのぶん性能が高く、長期的な光熱費の削減につながる可能性があります。結露を防ぎ家を長持ちさせる
外張り断熱やダブル断熱は、外気との温度差が小さくなるため、壁の中で結露が発生するリスクを軽減できます。とくにダブル断熱は温度差を生みにくい構造のため、結露の発生を抑えやすいというメリットがあります。壁内結露が起こりにくい家は、湿気に弱い構造体が傷みにくく、長く安心して暮らせる家づくりにつながるでしょう。
性能と費用のバランスを考える
断熱性能を高めるほど、施工の技術や断熱材の量が増えるためコストは高くなります。そのため、必要以上に高性能を追求するのではなく、住む地域の気候や家族の暮らし方に合わせて選ぶことが大切です。光熱費の削減効果や、結露を抑えて家を長持ちさせるメリットも含めて総合的に判断すると、予算に合った選択がしやすくなります。






