家を建てたあとには、住宅ローンの返済とは別に「税金」という支払いが発生します。建築費や諸費用に目がいきがちですが、実際には新築後に一度だけかかる税金や、毎年支払いが続く税金があり、金額も決して小さくありません。そこで本記事では、新築後にかかる主な税金と、知っておきたい軽減制度について解説します。
家を建てた後に一度だけかかる「不動産取得税」
新築後の税金で最初に意識したいのは、不動産取得税です。この税金は家を取得したときに一度だけかかるもので、建物と土地の両方が対象になります。引き渡し後すぐではなく、半年から1年ほど経ってから通知が届くため、忘れたころに請求が来て驚くこともあります。まずは仕組みと計算方法、そして特に重要な軽減制度について説明します。
不動産取得税の基本と計算方法
不動産取得税は、土地や建物を手に入れたときに課される地方税です。税額は「固定資産税評価額 × 4%」が原則となり、評価額が高いほど税金も大きくなります。なお、支払いは一度きりで、毎年発生するものではありません。多くのケースでは、引き渡しから数か月後に県税事務所から通知書が届く流れです。
新築住宅では税負担を大きく減らせる軽減制度
新築住宅の場合、不動産取得税には大きな軽減制度が用意されています。まず建物については、税率が通常の4%から3%に下がり、さらに建物の評価額から1,200万円(長期優良住宅は1,300万円)が控除されます。この控除によって建物部分の税金がゼロになるケースも珍しくありません。
また、土地についても4万5,000円の控除か、土地の評価額や延べ床面積をもとに計算された金額のどちらか大きい方が差し引かれます。軽減制度は申請しないと適用されない場合もあるため、事前に確認することが大切です。
軽減を受けるために必要な手続き
不動産取得税の軽減は、自治体によっては申請しないと受けられません。家の登記情報や建築確認済証、長期優良住宅の認定書などの書類が必要になる場合もあります。申請時期や持参書類は自治体によって異なるため、通知書が届く前に確認しておくと安心です。
毎年かかる税金「固定資産税」と「都市計画税」
新築後に継続して発生する税金が、固定資産税と都市計画税です。特に固定資産税は毎年支払いがあり、軽減期間が終わると金額が大きく上がるため、資金計画にしっかり組み込む必要があります。ここでは、計算方法や軽減制度、都市計画税との違いを解説します。
固定資産税の計算方法と支払うタイミング
固定資産税は、土地と建物の評価額をもとに市区町村が計算する税金です。税額は「固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)」で算出され、毎年1月1日時点の所有者に課されます。通知書は4〜6月ごろに届き、年4回に分けて納めることが一般的です。
新築住宅に用意された固定資産税の軽減制度
新築の住宅には固定資産税の軽減制度があります。建物部分の固定資産税が、新築から3年間は半額になり、長期優良住宅は5年間が対象です。軽減期間が終了すると税額が大きく増えるため、あらかじめ把握しておくことが大切です。また、土地については、小規模住宅用地として200平米までの部分が評価額の1/6に軽減され、200平米を超える部分については1/3に軽減されます。
都市計画税もあわせて確認しておく
都市計画税は、都市計画区域内の土地や建物に対して課される税金で、税額は「固定資産税評価額 × 0.3%以内」です。自治体によって実際の税率が異なり、固定資産税と同時に通知されることが多くなっています。土地には1/3に軽減される特例もあるため、固定資産税とあわせて確認しておきたい税金です。
住宅ローン控除で税負担を減らす仕組み
家を建てたあとの税金対策として、多くの人が利用するのが「住宅ローン控除」です。これは、年末時点の住宅ローン残高に応じて所得税が減額される制度で、実質的に手元に戻ってくるお金が増える点が大きなメリットです。制度の仕組みと対象条件、手続きについて簡単にまとめます。
住宅ローン控除の基本と優遇内容
住宅ローン控除では、年末のローン残高に一定割合をかけた金額が所得税から差し引かれます。控除率は0.7%、控除期間は原則13年間とされており、年間で数十万円が戻ることもあります。控除しきれなかった分は住民税から差し引かれるため、利用価値の高い制度です。
控除を受けるために必要な条件
住宅ローン控除を利用するには、床面積が一定以上であること、合計所得が一定額以下であること、住宅ローンが10年以上の返済期間であることなど、複数の条件があります。新築時には多くの人が対象になるため、必ず確認して活用したい制度です。初年度は確定申告が必要
住宅ローン控除は、初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で手続きができるため、会社員であれば大きな負担なく控除を受けられます。確定申告では、金融機関の残高証明書や住民票、建物の登記事項証明書などの提出が必要になるため、引き渡し後に早めにそろえておくとスムーズです。






